原状回復って何?原状と現状とは違うの?

賃貸住宅の退去立ち合いサービスを含めてご説明します。

 

 

不動産関連には難しい言葉が多いですね。原状回復や退去の立ち合いという言葉、賃貸住宅に住まわれたことがある方は聞き覚えがあると思います。原状回復についてご説明しながら、グラムでも提供している退去立ち合いについてお話しします。

 

お部屋を借りた場合には、賃貸借契約を結びます。契約書というと、難しい感じがしてしまいますが、お部屋を借りる代わりに、家賃を支払います、という約束が書いてある書類です。

ただし、それだけだと曖昧過ぎるので、いつからいつまで借りる、万が一家賃を支払わなかったらどのようなペナルティがある、何か壊してしまった場合は、どのようにする、などと、これまでの経験で過去に起きたトラブルを予め書いておくことで、後々のトラブルにならないようにしておくもので、結果的に文字数が多くなってしまいます。

契約書の文言の中にわかりにくい言葉がいくつかありますが、その中で一番トラブルになりやすいのが、原状回復です。

 

「げんじょう」という言葉を普通に使うと、現状という漢字を書く場合が多いですよね。でも、不動産の賃貸借契約では「原状」という漢字を使います。

この二つの言葉は似ているのですが、意味が異なります。「現状」は現在の状態を示します。一方、「原状」は元の状態を示します。そこに回復という言葉が加わるのです。

早口言葉のようですが、現状を原状に戻す、なんて言うと意味がわかりやすいかもしれません。

 

不動産の賃貸借契約に絡めてご説明すると、お部屋を借りると、借りている方に原状回復義務が課せられます。上の説明に当てはめると、お部屋を借りる前の元の状態に戻す義務があるのです。

単純明快なので、トラブルになりようがないようにも思うのですが、不動産の原状回復にはもう一つ要素が加わります。

 

普通に住んでいると、建物や設備は老朽化していきます。壁紙は日に焼けて退色しますし、エアコンは10年前後使うと壊れてしまうものです。先ほどの、住む前の状態に戻す義務だとすると、新築で住み始めた方は、ピカピカの新品状態まで戻さなければならなくなってしまいます。

毎月家賃を支払って、例えば10年住んだとすると、10年分120か月の家賃に加えて、出ていくときに高額の補修義務があると、あまりにも借りている方の負担が大きくなってしまいます。

実際に、昔はそのような主張をする大家さんがいて、多額の敷金が戻ってこない事や、追加で理不尽な請求を受ける、というトラブルが多くありました。そこで、賃貸住宅が多い東京都が率先して条例を定めました。「賃貸住宅紛争防止条例」といいます。平成16年以降に東京都で住宅を借りた方は説明を受けたと思います。

この説明書では、民法をはじめ、様々な法令や判例に基づいて、入居前にお部屋の何かが壊れたり、傷んだりした場合に、誰がどのような負担をするのかを明確に説明する事で、トラブルを防止するための物です。なお、東京都以外だと、この説明が無いだけで、原状回復に関するルールは同じです。

 

 

原状回復の基本原則はシンプルです。

わざと(故意)壊した、うっかりと(過失)壊した場合は、借主の負担でなおす。一方、普通に使っていたが、古くなって傷んだ・壊れた場合は、貸主(大家さん)の負担でなおすのです。これならば明確です。

わかりにくいのは、普通に使っているという、線引きかもしれません。この説明書では、一般的には、画鋲でカレンダーを貼るのは普通に使う事、一方、ネジで棚を壁に取り付けるような事は、普通の事ではないと線引きをしています。

さらなる例で説明しますと、カレンダーを貼って色が変わってしまうのは普通に使う事、タバコのヤニ汚れで色が変わってしまうのは、普通な事ではない。大分わかってきたでしょうか?

用語の説明をしますと、普通に使って傷む事を「経年劣化」といいます。

 

さらに、もう少し掘り下げると、壁紙は6年間使用すると価値がなくなる(耐用年数は6年)があると規定されています。このため、新築の状態で入居して、例えタバコのヤニ汚れで汚してしまった場合でも、6年以上住めば、壁紙代は支払わなくて済むのです。先ほど説明した経年劣化分は家賃に含まれている、と考えられているのです。

※特約などで、タバコのヤニ汚れは全額借主負担、などと規定されている場合もあるので、契約書をよく注意して確認して下さい。また、壁紙はお金がかからなくても、ヤニ汚れは柱や建具、エアコンの内部までも、様々な個所を汚損しますので、ご注意ください。

 

さて、説明が長くなってしまいました。

このように、お部屋を解約して退去時する場合には、様々な要素を加味して、これらの汚損や破損を「原状回復」する義務があるのです。

 

グラム株式会社の退去立ち合いサービスは、ただ鍵を預かって、リフォームの見積をお出しするだけではありません。お客様のご要望に応じて、原状回復の負担割合を含めてお見積書にお出しするサービスを提供しております。

大家さんには原状回復に加えて、家賃がアップするような、プラスアルファのプチリノベーション工事もご提案いたしますので、お気軽にご相談ください!