線状降水帯の影響で、雨が梅雨の時期のように続いています。
築年数の経過した不動産オーナー様であれば、一度は雨漏れや漏水の心配をしたことがあるのではないでしょうか。
分譲マンションであれば、管理会社が長期修繕計画を立てて、計画に基づいて区分所有者が積み立てを毎月行っていきます。中古分譲マンションであれば、修繕積立金がどの位の額が積み立てられているかについても、一つの大きな評価ポイントになります。もし大規模修繕費用に対して、積立額が不足してしまう場合、一時金としてまとまった額を支払わなければならなくなるからです。
一方、単独オーナーの賃貸物件では、オーナー様がどの程度積み立てをしているかが問題ですが、それができるオーナー様は多くはありません。
今回のトラブル事例は、梅雨の時期に、鉄筋コンクリート造の2階建ての賃貸マンションの1階の部屋で突如として、カビが大量発生したトラブルです。
これまで入居されていた入居者様が、突如退去をされてしまいました。退去後に室内を確認すると、いたるところにカビが大量発生していたのです。
当初、オーナー様は、入居者様が相当悪い使い方をしていた事が原因じゃないかと考えました。入居者様には、賃貸物件を利用するにあたり、善管注意義務=自分の物を扱う以上に人の物なので注意して管理する義務、があります。このため、入居者様の使い方が悪いのだから、カビに伴う原状回復(住む前の状態に戻す)費用は、入居者様に支払ってもらうべきだと、オーナー様は主張をされました。
オーナー様から相談を受けた私たちは、退去した入居者様に聞き取り調査を行いました。結果、使い方に問題はなく、お掃除等もきちんとした上で住まわれていました。もちろん、本人の使い方に問題がなかったとしてもカビの発生がおかしいなと思った時点で報告の義務がある事は申し添えます。
その後、原因調査が始まりました。オーナー様からの聞き取り状況だと、外壁や屋根の防水工事を相当年数行っておらず、外壁などからの漏水が一番に疑われました。床に点検口がなかったため、開口して確認したところ、大量の水が溜まっていました。外壁に目立った漏水の原因となりそうな箇所は無く、水の量もそれなりに多かったため、その部屋の水回りの配管が怪しいと調査を行いましたが、やはり漏水箇所はありませんでした。
その日は原因を突き止める事ができず、雨が降った際に再度確認しようと床は開口したままその日の作業を終えました。
雨の日にも症状は出ずに困ったのですが、その日はちょうど上階の入居者様が在宅でした。床下の水のたまり具合を見ていたところ、上階で水を利用すると、水が増える事が分かったのです。目には見えなかったのですが、上階で水を利用すると、上階で水漏れが発生して、目に見えないところで下の階の床下に溜まっていたのです。
早速、上階の方にお話しをして、天井を開口した上で、漏水箇所の配管を交換して何とか原因の特定と問題の解消に至りました。
原因が解消できたため、カビが大量に発生してしまった汚損の原状回復をして、ようやく次の入居者を迎えらえるようになりました。
今回の配管の不具合は、経年劣化によって発生した故障であり、上階の方の故意や過失による配管のトラブルではなかったため、保険を用いる事は出来ませんでした。
今回は当てはまりませんでしたが、不動産業を営む場合、保険の知識を豊富に持って、リスクに備えるために必要な保険に加入し、いざというときに保険を利用できるようにする事も、非常に重要です。
また、疑心暗鬼にならずに、建物や設備のトラブルの際に、原因の特定を容易にするためにも、長期修繕計画を立案して、計画的に大規模修繕を行い、常に建物の状況を把握しておくことも、賃貸経営にとって非常に重要です。
もし、不安や不明な点がございましたら、グラム株式会社までお気軽にお問い合わせください。
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